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此処を読んでいる方がどういう意図でこの頁に遣って来たのか、分からないのですが、此を読んでいるということは、かなり変わった人間であるようですな〜。
やれやれ、この日本の世も末というか、変な人間が増加傾向にあるのでしょうか。ハムレットの一節に、墓堀人が「あそこ(イギリス)じゃ、気が違っていても目立たたねぇ」と発言するシーンがありますが、日本もそう成りつつあるのか………いや実に素晴らしい――じゃなかった、嘆かわしいことです。
そもそもですねぇ、タランチュラなんか飼ってどうするんですか。亜成体から成体になったらですね、見てたって別に変化はないのですよ。動かないし。鳴かないし。私は此処に居ますよ的なメッセージを発することは皆無というか、千五百二十三歩譲ったとして路傍の石並です。中には一年ぐらい餌も食べない動かないようなヤツもいるのです。餌は食べないけど水だけは遣らなきゃいけません。気分は植物ですよ? すくすく育つ分だけジャックの豆の木でも育てていた方がずっと幸せ夢一杯というものです。
そのくせ、寿命は長くて十年とか二十年とか三十年も自宅に居座るのですよ? この地価の高い日本にあって、空間に支払うその対価たるや、相当なものであること間違いなしです。
加えて言うなら、いくら長く飼育しても慣れるとかないですし、名前を付けたりして倒錯的愛情を注いだとしても拗ねたりも壊れたりもせず、一年経とうが二年経とうが十年経とうが何ら変化はなく、こちらを餌と誤認して咬み付こうとしたり威嚇したりするのです。
そんな意味不明な生命体を飼うなんて気が知れません。何考えているのやら……家族にしてみればえらい迷惑であることこの上なく、寛容でない家族に知れようものなら家族会議招集或いは親族会議招集、或いは「実家に帰らせて頂きます」という置き手紙事件が起こるのですよ。
マンションの大家にしてみれば途轍もなく迷惑であることに間違いはなく、近隣住民に知れ渡ろうものなら奥様井戸端会議で七十九日有ること無いこと囁かれたあげくに忘れ去られるような仕打ちを受けるのです。
とは言え、此を読んでいる人の中で、さらにタランチュラを飼いたいなぁ等とトチ狂って此処を読んでいるというような、全世界的に見ても少数派であるだけでなく、恐らく今後滅び行くであろう精神構造をお持ちの皆々さまに在っては、そのような偏見や差別など物ともしないでしょうから、言う迄も無かったかもしれませんけれど。(或いは飼う気はないのだけどちょっと興味はあるから読んでいる、という方は、諦めてさっさと此方側に堕ちてください(笑))
そんな訳で、タランチュラなどという禍々しいことこの上なき名を冠する生物の魅力に取り憑かれた、皆様は、滅び行く熱帯雨林を愁いながら、世間の評価は気にせずに、束の間の新しき世界を心ゆくまで堪能すると致しましょう。
そうでないけど何かの偶然によりこの頁を読んでいる方は、現代日本に於いて非常に稀少とも言えるぐらい少ない人種がぼやく様をのんびり観つつ、流れる雲をのんびりと眺めるような心持ちで見逃して頂きますよう、重ねてお願いしてみたり。
さて、飼育あれこれに入る前に、ちょこっと。折角なので、タランチュラを図解してみましょう。
此奴はカーブドホーンというバブーンスパイダーの幼体です。ポーズが良かったんで登場して頂くことに相成りました。
これから先、色々な所で見る“体長”は、顎の先から腹部までを指します。体長の測り方は、たぶん、万国共通です。よく、体長20cmのタランチュラがいる、とか聞きますが、それはレッグスパンの間違いでしょう。そんなタランチュラがいるなら、是非見てみたいです。
“レッグスパン”というのは、足の長さを含めた大きさですが、これが結構微妙です。というのも、見て分かります通り、ポーズによってかなり長さが変化してしまうからです。基本的に、普通ポーズの状態を言います。写真の図は結構足を伸ばした図になっちゃってますね(笑)
何故こう違う二つの目安が設定されているか、ですが、恐らくは足の長さ、というものが種によりまちまちだからでしょう。ブラジリアンブラックという種がおり、この種はかなり大型なのですが、其程足が長くないので、足の長い種に比べると、体長では勝っているのにレッグスパンでは負ける、ということがあったりします。
オーナメンタル・ツリースパイダーの仲間は、足が非常に長く、しかも伸ばして揃える「ささかま」体勢が基本ポーズなので、レッグスパンはかなり大きくなりますしね。
第一歩脚、第二、第三、第四ですが、これは別にどうでも良し(笑) オスの判別の時に、第一歩脚にセックス・フック(メイティング・フック)が出るという時に気にするぐらいです。
あと は、スタウトレッグバブーンの第四歩脚が特徴的だとか、キングバブーンのメスは第四脚が太くなってカッコイイとか、まあそういう風に使います。
頭頂部、というのは頭の部分全体で、背甲というのは上の甲の部分だけの名称です。背甲には目がオマケのようについています。ちなみに、蜘蛛の目の数は八個です。
腹部。バードイーターの仲間は、此処に刺激毛があるわけですねー。きゃーっ!(笑)
食べさせると膨れ上がるので、まあ脹れた時とそうでない時とではかなり大きさに差があります。脱皮直後と脱皮前の食べさせまくった個体では全然大きさが違うし、WCのお腹一杯状態と、CBのパワーフーディング個体は全然ちゃうので何ともかんとも。
右の写真が裏返し。ちなみにオスです、こいつ。
他にも名前がある部位は色々あるのですが、重要なのは第一書肺と第二書肺ぐらいでしょう。
オスは第1歩脚の脛節に、メイティング・フック(セックスフック)という突起があります。コレで、メスの牙を押さえて交接に望むわけですなー。
第一書肺は左右ワンセットなのですが、この第一書肺の間に、生殖器が(外雌器)というのがあります。雌の場合は。
オスはも此処から精子を放出するようですが、雌と違って出っ張ってません。これは、写真で出すのは難しい(一人で裏返し&写真とりはなんか危ない)ので、ちょっとご容赦を〜
オスはコレの他に、触肢の先が丸くなり、なんか針みたいなのを持つようになります。んー、写真の映りがイマイチなんですが、おわかり頂けますでしょうか。コレに精子を貯めて交接に望むんですが。ま、そういう詳しい場面はまた後ほど出せると良いなぁということで(謎)
「我は素手で勝負する。道具を使うなど臆病者のすることよ!」という人類の特性を根底から否定する雄度(=馬鹿度とも言う)の高い方は、素手で勝負掛けても別に良いですが、普通の人はピンセットを使いましょう。
タランチュラ飼育では、出来ることなら、飼育する間一度もクモに触ることがない、というのが理想です。
一刀入魂、一撃必殺、ピンセットに命を賭け――――る、必要はないですが、ピンセットに頼らないと、命はともかく入院しない生活は送れないかもしれません。
竹製やステンレス製いろいろありますが、30cm弱程度の長いものを一本でいいので購入し、大豆などを掴んでみたり、飛んでいるショウジョウバエを空中で摘んでみたりして、手に馴染ませておくと良いかと思います。
僕は25cm程度のものを三本使ってます(数に意味はないですが)。短いものは、殆ど使う機会がないです。
他には、菜箸とかを使う人もいます。此は、高さが30cm以上のケースを使う場合(そういう容器を使う種は自然、樹上性の凶暴な奴らなのですが)に重宝します。が、まぁ、今一使いにくいですな〜
放し飼いしたいという奇特な方が、この日本にいるかどうかは知りませんが、確かにアメリカでは庭の木にピンクトゥーを放し飼いにしていたという非常にバカ………じゃない、独創的発想をなさる方がいます。
ちなみに、此のクモ、何匹放ったのだか知りませんが、帰化しちゃって庭で繁殖、近隣にとことてと歩き回る始末。条例で飼育に規制がかかったのですが、まぁあんまり効果なかったらしく廃案になりました。
国内でこんな気ちが――じゃなかった、風変わりな発想をする人がいたら、まぁ、取り敢えず飼わないように(笑)
国内の情勢や世論を考えますと、タランチュラを放し飼いにした場合、馬鹿みたいに大きな騒ぎが予測されます。逃がす時点で大騒ぎになると思うので………此処は、人生哲学を曲げてでも、逃げられないような容器で飼育してください。
最も基本となるのは、プラケなどと呼ばれる昆虫飼育用プラケース。タランチュラに限らず、爬虫類飼育でも好く使われる製品です。サイズが小さいものから大きなもの迄揃っていて、選り取り見取り。此を用いて飼育出来ない種はタランチュラにはなく(逃げ出すぐらい小さい幼体は除きますが、それも間にステンレスメッシュなどを挟むことで飼育可能と言えば可能)、終生此で事足ります。
各社から幾つかの製品が出ていますが、NISSOの黒蓋プラケは、上部に小窓が附いており、その小窓がスライド方式になっているので、閉め忘れの危険が低い為、お薦めです。脇もしっかり閉まる構造ですし。
メッシュがあり、通気性が好いので樹上性種にも向きますが、このメッシュから幼体は逃げ出すので、体長2cm以上のタランチュラ向きです。但し、樹上性種はには少々高さが足りないことがあるかもしれません。
プラケ最大の欠点は透明性がすくに失われてしまうことで、特に堅いスポンジで洗った日には磨りガラス状態になってしまいます。此材質の性質上どうしようもない事なので諦めましょう。
次が、クワガタ幼虫育成用ブロー成型容器。透明部分が薄い作りになっていますが、今の処、此でタランチュラを飼育していて容器を破壊されたことはありません。蓋も捩子式なので閉め忘れがないでしょう。空気穴が開いていないので、自分で穴を開けます。錐を使用しても良いですが、此のケースが必要になるぐらい大量に飼育している人ならば、電気ドリルの方が便利です。
プラケースよりもこちらの方が勝っている点は、高さの高い製品があることと、透明度が比較的長く保たれることです。地中性種や樹上性種には高さがある方が良いですから、、地中性種には土を沢山入れて、樹上性種には土を少なめにして飼育します。此の容器で徘徊性種を飼う意味はあまりないでしょう……彼らが巣穴を掘るのを見たいというのなら別ですが………
徘徊性種や幼体を収容するのに向いている容器は他にあり、それがタッパーウェアです。最近は安価なものが手軽に購入出来るようですね。只、中には蓋の閉まりが甘い製品があり、そうした製品は中に入っている種に依っては、自力でこじ開けて脱走する事が在るので、しっかりと閉まるものであることが重要です(LasiodoraやPamphobeteus、Theraphosa等が特に此に該当)。
但し、逆に堅すぎると開ける時に力を籠めすぎて、反動で中身を撒き散らしたり容器を取り落としたりという事があるので、適度さが重要です。透明度の低い製品が多く、鑑賞には向きませんが、探せば透明度の高い製品も稀にですが存在します。
最近は高さのあるタッパーウェアもあるようで、そう言う製品は樹上性種飼育ににも使えます。
当然ながら空気穴などは在りませんので、自分で空けます。穴開け加工ですが、熱した釘などでやるのは結構大変なので、出来れば電気ドリルがあると便利です。電気ドリルは、そんなに高価なものでなくても十分使用に耐えるので、ハンドドリルかなんかを手に入れておくと良いかと思います。ドリルで穴を空ける時の注意点は、強く押しすぎると罅割れする事があるので、あくまで穿鑿して穴を空けるようにする、というところでしょうか。 それから、積み上げる場合は側面にも穴を開けないと中身が蒸れます。
背の高いものは、下の方にも穴を開けると、空気の循環が上手く行くようですが、下の方すぎると水を入れた時に零れてくるのでそのところは気をつけた方が良いかと。特に絨毯の方は....ヤシガラ土などを使っている場合、紅茶色の液体が出てきて、此が取れません。漂白でないと無理なので、色つきカーペットの場合は要注意です。
右の写真の容器は、僕が自作したもの。上下分離式とでも言うべきケージです。底を切り、そこにぴったりと填る別の容器をはめ込んであり、側面から穴が通っていて、釘で固定されて落ちないようになってます。おそらくプラケでも、同じサイズのプラケを使うことで作れると思いますが、プラケって高いので作ったことはありません。
底の方に床材を入れ、上の方の部分にコルクバーグなどを固定しておくと、樹上性種は上に巣を作ってそこに棲むので、そっと刺激しないように下を分離すれば、安全に床材を掃除することが出来ます。作るのが面倒ですが、不安な方は制作してみると良いのではないでしょうか。
下と上が上手くフィットせず、隙間があると脱走されるかもしれないので、妥協しないで作るのがポイントかと思われます。
まぁ、或る程度腕が附いてくると、製作コストが掛かる(金銭と手間両方で掛かる)斯うした自作ケースというのは作らなくなるかもしれませんが。僕も、此以降作ってないし(笑)
最後に、深型のプラケース。アイリスの、「飼育ケース深型 CV-M」という製品です。繁殖向きのケースです。
普通、深型というと面積の広いものを言いますが、写真のような深型のケースも存在します。
A氏(笑)に教えてもらったものですが、普通の爬虫類専門店などでも存在が全く知られておらず、全然入荷しないどころか取り寄せてもらうことすら出来ません。
本来クワガタやカブトムシ用なのですが、カブトムシ専門店ですら存在が知られていないという気の毒さ。一体、何処の誰が使っているのか....
興味のある方はアイリスプラザへ連絡すると良いでしょう。
ただ、上蓋の出来が柔らかく、密閉の度合いが今ひとつ。蓋を閉めてあっても、上手くやると脱走出来るのではないかという心配があります。今のところ取り立てて問題は起こってないので杞憂かもしれませんが……種類によっては脱走出来そうです。
今のところ、脱走されたことはないのですが、一度あっても駄目ですからね……此の上に、別のプラケを置くなりすると良いかもしれません。この製品は蓋がスライド形式ではないので、中の成体が自分で開けて出ることよりも、閉め忘れの方が怖いですから、其れを防止する意味合いも込めて。
何しろ、コレに入れて楽しいものは、樹上性大型種=オーナメンタルや、大型のバブーン、アースタイガーだと思われますので……(^^;)
それから、持つときは側面をしっかり持った方がいいです。蓋の脇に指を引っかけて運ぶと、中に土が入ってる時は重さで指をすべらせる可能性があります。ニッソーのプラケの取っ手も信用できませんが、これはそれ以上に蓋が甘いので、中に土を入れている場合は簡単に蓋がはずれて容器部分が落ちます。
他には、幼体ならばプラカップで飼育出来ないこともないです。但し、この手のプラカップというのは長く使っていると蓋が必ず甘くなり、脱走される懸念は常に付きまといます。
特にPamphobeteusやLasiodora等の、脱走に命を賭ける修羅という感じのクモは、意外に小さい頃からこのプラカップ開けを可能とします。
せいぜいが、プラケースの蓋の隙間から脱走を計るようなサイズの幼体迄と考える可きです。
他にも使えるものは色々あるでしょう。パスタケースや、焼酎の入れ物、夏ならば麦茶入れ、フロッピーケース等々、使える物は何でも使うのがクモ飼育者の在り方です(笑)
結局のところ、脱走されず、通気性が良く飼育に支障がないならば、何でも構わないのです。桐箱でだって飼育しようと思えば出来るかもしれません。見栄えのする方法で飼いたいと思う人は、ガラス水槽等を使いたいと思うかもしれませんが、ガラス水槽には隙間無く適合し、且つ、簡単には開かないという蓋がないため、自作に長けた人でもない限り、脱走されない、という条件を満たす蓋を見つけ出すことが難しいので、どうしてもガラス製の何かで飼育したいという人は、爬虫類用ケージと呼ばれる製品の方を使いましょう。
湿度保持や汚れ受けとして必要なのが床材。多湿な環境に生息する種、ましてや地面に潜るタイプの種には絶対に必要なものです。まぁ、根性を発揮してもらえば、折り紙などを用いることも可能かもしれませんが………(<蓑虫みたく。そう言えば、蓑虫って絶滅危惧だそうですよ?)
そんな事をしてもクモに対する嫌がらせ以外の何物でもないので、土のようなものを素直に使いましょう。但し、園芸用用土には殺菌成分が含まれている有機配合用土なるものがあり、これらは使わない方が無難なようです。殺菌した腐葉土も、熱消毒なら問題ないですが、薬剤消毒だと危険です。
尤も、腐葉土はタランチュラ飼育者の間ではあまり使っているという話は聞きませんが………無論、腐葉土を使っても問題はないのですけど、あまり使う意味がないからでしょうか。
一般的に床材として使用されているのは、ヤシガラ土でしょう。ヤシガラというのは椰子の実の殻を粉砕したものです。産業廃棄物である椰子の殻の二次製品なので、安心して使え、また汚れた場合には庭先などに巻くことが可能(但し、コオロギが卵を産んでないか注意する意味も籠めて、一端衣装ケースなどに入れて乾燥させ一定期間放置することを推奨)。ミミズの大好物だそうです。
ピートモスなども使えますが、ピートモスはインドネシアなどの一部の地域の泥炭層と呼ばれる場所から産出される資源であり、限りがあるので、タランチュラ飼育にわざわざ使う必要はないと僕は思います。アレは、土を酸性に保ちたいなどの特別な理由がある場合に利用する品でしょう。
ヤシガラにしろピートにしろ、適度にぬれていると吸水性も良くなるのですが、乾燥状態では吸水性が悪いので、多湿系などでは完全に乾燥させる前に霧吹きするのが重要です。特にピートは、一度乾燥するとひたすら水を吸いこみません。最初はバケツの中などで、水と一緒に捏ねるなどしないとダメなようです。そういう面でも、ピートは面倒ですね。
他にも、バーミキュライト、赤玉土、セラミックボール、ハイドロボールなど、園芸用品には使えるものが多いです。ただ、バーミキュライトはキラキラした粉が舞ってクモにくっついてイヤという意見もあります。僕は基本的にバーミキュライト使ってません。蛇の卵を孵化させる時に使うぐらいですかね。
赤玉土も、クモが汚れやすいという意味ではあまりお薦めではありません。乾燥している状態でクモがほじくり返すことで埃が立ち、見るも哀れな風貌に成り下がったクモを見るのはちょっと忍びないです(脱皮までですけど)。
総括すれば、なにやら妙なもんが入ってなさそうなら基本的には使えます。熱帯魚用の川砂だって使えるでしょう。砂漠の砂や、蛎殻や化石骨を粉砕して作られたカルシサンドなるものもありますが、見栄えを追求する以外では使うメリットは値段の割に低い気がします。
砂漠の砂を始め、砂系の床材は、使う場合、そのまま入れると砂がさらさらして舞ってよくありません。一端水を注いで乾かすと固まるので、そうした下準備をしとくといいでしょう。
乾燥系バブーンなどにこの砂を使うと、結構楽しいことになったりします。保湿力はあまりないので、多湿系には使わない方がいいと思います。
霧吹きは、幼体に飲み水を補給したり、空中湿度を高めたい時などに用います。
霧吹きには手動のタイプと、タンクに水を入れ手動で加圧しておき、ボタンで楽に霧吹きの出来るタイプと、さらに上では電動のものと、幾つか種類があります。
それぞれに一長一短があります。手動の製品が一番使い勝手が良いと言えるでしょう。加圧式の製品は一度に出てくる水の量が多く、調節が難しく、幼体の小さな入れ物に上手く水滴を付けるのには向きません。
加圧式の製品は、沢山水を散布したいときに使うべきものです。
タランチュラは想像以上に水を飲む生き物です。どの程度水を飲むか、というのは飼い方にも依ります。たとえば、ストックが長くて脱水状態のコオロギばかりを餌にしていれば、水を沢山飲みたくなるでしょうし、水分たっぷりのコオロギを食べていれば、其程飲まないかもしれません。
然し、食事をしない時でも水を飲みますので、水容器は常設しておくべきと言えるでしょう。
個体に対してあまりにも大きいと溺れることがあるため、個体の頭頂部程度の大きさのものを使います。
ペットボトルの蓋から、シャーレ、爬虫類用の水入れまでいろいろ使えます。どんな形をしていなくてはならないということはないので、好みで揃えてみて下さい。ただ、殺虫剤とか農薬の蓋とか、化粧品の蓋とか、その辺の微妙なものや已めたほうがいいと思いますが(<んなもん使う人いないか)
幼体には水容器を設置しにくい為、適度な霧吹きで壁面に上手く水滴を付けてやることが飼育の上で肝要となります。
ペットボトルの蓋ですが、何故か水漏れするものがあります。どうやら、捩子で締めることでパッキンを押しつけ密封する仕様になっているものが有るようで、それらは水容器として使えません。実を云うと使えない物の方が多いです。使えるのは、ポカリスエットやエビアン、後はAsahiの烏龍茶などの蓋。個人的にはエビアンとAsahiの烏龍茶の蓋がお薦め。一体成型ですから。
あると便利グッズです。別に必須ではありません。
化学の実験の時などに使った記憶もあるかと思います。東急ハンズなどに行けば、卸値から見ると高いなぁという感じですが売られています。狙って水を入れることが出来、しかもプラケのスリット部から入れて注水出来るので、ものぐさな人にはとても便利。せいぜい200〜300円程度なので、一本ぐらい買い求めても大した損とは言えないでしょう。
面倒になったので此処に纏め(笑)
えー、他には、コルクバーグ、デリカップ、一応温度計、空調で部屋全体を暖めるのでないならフィルムヒーターなどが必要なのではないかと。
コルクバーグはツリースパイダーなどには必須な気がしますし、デリカップは捕獲用具として必要(でも、僕はプラケSで捕獲しますけど)。温度計も一つぐらいあった方がいいし、フィルムヒーターも一部を暖かくするのに使えるので買った方がいいかと。
揃えるとそれなりの値段するかもしれませんが、タランチュラ本体を買うよりも先にこれらを揃えた方がいいです。揃える気がないなら、そのまま飼わなければいいし、ということで。
あと、水槽もあると良いかもしれません。後ろにフィルムヒーターを側面に貼り付けると簡易温室になります。幼体などはフィルムヒーターを下に敷くとあっさり熱死するので、この簡易温室に入れると良い感じではないかと。
概要と言っても、実は詳しく書く自信なんかないから概要なんだったりするのですが、それは秘密なので、この一文も読み終わった後は記憶から削除して頂きたい次第です。
そんな訳で、概要というか、タランチュラを飼育するときに気をつけるポイントであって断じて飼育法ではないのでコレだけだと飼育出来ない気がしますが……
この三点さえ守っていれば、まず飼えるのではないかと。ワイルドの個体で、入手した時点で状態崩してました、という場合は別ですが。あとは、飼育センスが全然ないとか、そもそも生き物を飼育したことがない、という場合は無理かもしれないので、コオロギ飼育から修行を積みましょう。
空中湿度というのはその名前の通り、空中に存在する水蒸気の度合いです。飽和水蒸気量を100%として、パーセントで表示します。温度により飽和水蒸気量は変化します。
タランチュラには多湿を好むものがおり、実に湿度80%や、100%のような環境を好むものすらいます。そうした種を乾燥状態にもってくると、早いと数時間で死亡することもあるようです。タランチュラの呼吸器官である書肺から水分が無くなるかららだとか言われていますが、詳しいことは僕は知りません。取り敢えず、死ぬというのは確実な模様です。
床材に水注ぎ、濡らしておくことで湿度は維持します。日々蒸発するので、時折注水する必要があります。また、脱皮の兆候がある時などは、ケージ全体に霧吹きをすると、一時的にですが湿度を上げることが出来ます。
「湿度何パーセントを維持すればいいですか?」と言われると困りますが、多湿と言ったら70%以上、というのは覚えておいた方がいいかもしれません。普通、多湿系ほど湿度変化(乾燥)で容易に死にますので。乾燥系は、比較的湿度はアバウトでよく、床材が乾燥していても飲み水さえあれば普通に生きています。
ただし、日本の冬は最悪な時で湿度0%近いこともあり、そんな時に脱皮されると脱皮不全で間違いなく死亡する為、脱皮しそうな個体は、温室に入れて全体を50%ぐらいにしておき、かつ脱皮しそうなヤツのケージに霧吹きする感じで良いかと思います。霧吹きというのは至極一時的なもので、ものの一時間程度で乾燥状態に戻ってしまいます。水槽などを用いた簡易温室は有効なので、脱皮しそうな個体だけでも其方に移動しておくべきかもしれません。
僕はいちいち湿度を湿度計で測定したりしませんが、床材の状況と、部屋の空中湿度でおおよそ把握出来ているからか、最近は脱皮不全や水切れで殺した個体はいません。
料理の味付けと同じで、湿度は数値で測るのではなく、観察と経験で推し量るようになった方が楽だし、実際それで問題は生じないと思います。まぁ、経験を積むまでの個人差があるかもしれませんが……
見た目で判断する場合、タランチュラが何処にいるかで判別するのが一番いいと思います。床材を半分濡らしてみたとき、濡れた上にいるか乾いた方にいるか。
乾燥しているところにいれば乾燥している方が好きだし、濡れている上なら多湿な感じが好きということです。水容器の上に常にいるようなら湿度が不足してます。側面に張り付いて出ようとしているなら、何かしら気に入らない(床材がべちゃべちゃすぎるなど)ことがある筈です。数値をいちいちはかるより、そういう風にして判断した方が楽だし確実な気がしますね。なんとなく。
温度ですが、だいたいの種が27℃前後をキープすれば良い、と言われています。ただ、オーナメンタルツリースパイダーなどは高温を嫌い、23℃〜24℃ぐらいの比較的低い温度を好むようです。例外的に20℃以下で飼育しないと生きていないタランチュラというのもいるそうですが、基本的には20℃を切ることがなければ問題ありません。
勿論、中には20℃を切って15℃ぐらいでも平気な種もいますし、それが繁殖のきっかけになっている可能性もありますが、南米に住む種などではダメな種が殆どだと思われるので、20℃以下には、何らかの意図と目的がないかぎりは、遣らない方が無難だと思われます。
また、30℃以上というのも死ぬと思うので、やめた方がいいでしょう。
水容器は、どんなタランチュラにも常設します。タランチュラは水をかなり飲み、空中湿度以外にも飲み水が不可欠なようです。脱皮前や食後に大量に飲むような向きもあるので、普段飲んでないようだからあげなくてもいいだろう、とか思わない方がいいような気がします。
毎日霧吹きをして、壁面を濡らしてそこから飲ませるという方法もありますが、手間が掛かるので、常設した方がいいでしょう。
タランチュラの頭頂部程度の大きさにしないと、タランチュラがおぼれることがあるそうです。ペットボトルの蓋、熱帯魚の餌の蓋、爬虫類用の水容器など様々なものが使えます。
そんなところですかね。概要ですし。
あくまで参考ですよ〜。正直、この辺は扱ってみないとわからんというのはありますので。あとは本でも読みましょう。
ヨーロッパイエコオロギ、フタホシコオロギなどがメインです。ミルワームやハニーワーム、シルクワームなども使えますが、メインたり得ません。また、各種冷凍マウスや、ハウスゲッコーなども餌として使えますが、カスが大変臭うので掃除は即行う必要があります。
大型のバードイーターなどは、鳥の砂肝、ささみなども食べますので、コストの観点からこれらを与えてもいいかもしれません。エビを与えてみましたが、食べる個体は食べますが、人気は低かったです。なんか途中で棄てるのでむかつきます。つまり食べないから与えない方がいいかもという感じです。
冷凍餌は入れておいても食べなければ腐敗するだけなのですが、問題は活き餌。コオロギは顎の力が強いので、そのまま入れるとタランチュラが囓られる危険性があるそうです。顎を破壊したり、脚を破壊したり、首を絞めて神経を軽く破壊し不随状態にして与えた方がいいようです。僕はそうしているので、今のところコオロギにタランチュラが殺されたことはありません。
幼体にはピンヘッドコオロギ、二令、三令コオロギなどが適しています。大きめのコオロギを回すという手もありますが、毒性の強いとされる種(Poecilotheriaなど)の食べ残しを別のタランチュラに与えるとよくない、という話も聞きますので止めた方が無難かもしれません。
沢山の幼体を管理している時は、コオロギをいちいち殺すのは面倒なので、プラスティックの瓶などにどさどさと入れ、軽くシェイキングするとコオロギがショックで一時的に動かなくなる(そのまま死ぬやつもいますが)ので、麻痺してるところを顎を破壊して入れていくと良い感じです。ちなみに、シェイキングは言うなれば昏倒しているだけで、暫くすると意識が戻りますので、脱皮直前と思われる個体に餌をやるときは、きちんと首を折って入れないとまずいと思います。また、シェイキングは力入れすぎるとつぶれてぐちゃぐちゃになり使い物にならなくなるのでご注意を。
あと、ショウジョウバエなんかが手元にある人は使っても良いですが、栄養価が低いのか、与えてもいまいち成長が遅いです。幼体にはハニーワームなんか良いかもしれませんね。あれは栄養価高いです。成長の速度とか正確に計った訳じゃないですけど。
餌を食べれば当然ながら食べかすが生じます。タランチュラは食べ散らかすということはなく、食べられなかった部分は玉状にして端っこなどに捨てます。
床材の上に乗ったままだとダニを呼んだり蛆が生じたりするので、即除去。この時、地面がびちゃびちゃした環境だと、水の中にタンパク質が溶け出すのか、暫くすると異臭を放つことになり、クモ自体にも良くありません。この観点からも、水の与えすぎは要注意です。
食べて暫くすると、糞をします。そもそも、消化して液状になったものを吸い取るという食事形態であるタランチュラは、老廃物の殆どを食べる時点で食べかすとして除去してある為、殆ど排泄しませんし、排泄物に含まれる有機成分も大した量ではないと推測されます。ですが、此も多湿な環境に在るとカビを生じ良くないので、なるべく除去しましょう。
壁面に付着している場合は、軽く水を掛け、ティッシュのかけらなどをピンセットで挟んで綺麗に拭き取ります。完璧にやらずとも良いとは思いますし、凶暴種の場合はそんな丁寧にやったらかえって危ない気がするので、適度に。この辺は各人の判断で。
個人的な見解として、砂肝やマウスなどを食べさせた場合の方が糞は多く、またその糞がかびやすいような気がします。
タランチュラは、普通に飼っていると脱皮します。成体を購入した場合、一年ぐらい脱皮しない種もいるので面倒です。オスには最終脱皮と呼ばれるものがあり、これをすると触肢やセックスフックが出現(しない種もいますが)、その後は基本的に脱皮をしないようです。
過剰に脱皮をする現象も確認されていると聞きますが、基本的にはしないと思って良いかと。
メスには際限はないらしく、寿命の限り脱皮をし続けるそうです。その度にサイズが大きくなりますし、くすんだ色などは美しくなるので、タランチュラ飼育の醍醐味の一つと言えるでしょう。でも、あんまり目撃することはないかもしれません。
何度か目撃はしていますが、脱皮中に刺激を与えるのはよくない、ということで、まだ写真とかは撮ったことがないので、写真はナシということで。
脱皮の兆候というのは、観察しているとなんとなく感じ取るというもので、取り立てて方法がある訳ではないです。腹部の様子を見るとなんとなく....というのはありますが。
まぁ、その何となく、が分からないうちは、湿度が最低50%を切らないように気をつけていれば問題はない気がします。
冬場の湿度不足は乾燥系の種では深刻なので、冬場にはほんと注意です。もともと湿度が高い環境で飼育する樹上性種や多湿系徘徊性種などでは、湿度不足による脱皮不全はあり得ないでしょう。
まぁ、慣れてくると、「そろそろ脱皮な気がするから霧吹きしておこう」とかやってると脱皮したりします。こうした第六感が重要ですね。
脱皮をしている最中に刺激を与えると脱皮が失敗し、そのまま死に至ることがありますので、注意しないといけません。徘徊性のタランチュラはモルティングベッドというものを張り、その上にひっくり返り、その姿勢で脱皮を行います。地中性種や樹上性種はよくわかりませんが、巣の中で上手く脱皮するようです。なんか、巣の外に殻が出してあったりしてなかなかに器用です。霧吹きをしよう、とケージを手に取ってみたら脱皮中でしたぁ〜みたいな事にならないようにしてください←経験あるらしい
この、“ひっくり返る”を見ると、あまりにもぎょっとするらしく(僕だって未だにびびります)、これをひっくり返して無事かどうかを調べたくなってしまうのが人情ですが、ひっくり返すと無事でなくなるので、ぐっとこらえて放置しておきましょう。世界的に見ても、放任が大切らしいです。まだ脱皮が始まっていないようなら、軽く霧吹きしてやってもいいですが、そっとやらないとタランチュラが驚いて自分で戻ってしまうのでご注意。
あとは、のんびり紅茶を片手に観察するなり、気にせず寝るなりするしかないです。脱皮に関しては、我々には手伝えることは何にもありません。普段から湿度とか健康状態とかに気を遣い、脱皮中にコオロギが入っているようなことがないように注意でするしかありません。
乾燥系にしろ多湿系にしろ、床材は敷きます。基本的にはなんでもよく、2〜3cmも敷けばそれでいいです。僕はそんくらいしか敷いてません。ただ、繁殖の時には深く引かないとダメなヤツもいるとのことなので、此処はあくまで飼育の部分だけですけど。勿論、例外もいます。
多湿系なら濡らし、乾燥系なら軽く霧吹きするだけです。乾燥環境では、バーミキュライトにしろヤシガラにしろ赤玉土にしろ、ただ入れるだけだとホコリが立つので、予め床材を入れ、全体に霧吹きをして、一端乾かす、というのをした方がいいような気がします。砂漠の砂なんかは使うとカッコイイんですが、これは水に浸して乾かすと固まる感じなので、固まらせた方がいいです。固まらせないと、毛の間に砂が入っちゃって微妙になりますので。
徘徊性種にはシェルターは実はあんまり要らなくて、水容器だけ設置しておけば良いのですが、ワイルド個体や神経質な個体だと、それだけでは落ち着いてくれなかったりします。どうもケージの中をうろうろしているようなら、デリカップを半分に切ったものとか、コルクバーグとかをシェルターとして入れてやるといいでしょう。
コスタリカンタイガーランプなどは、徘徊性種とされますが巣を作るのが大好きで、むしろ張らせないとイマイチなので、シェルターを入れて巣を張らせることをオススメします。神経質な種ですが、巣があると刺激があった時に其処へ逃げ込んでくれます。そういう場所がないと、ひたすらパニックになって走り回ったりして厄介この上なくなります。
徘徊性種と言っても、実は結構壁面とか登るのが得意な種もいて、ヘタに刺激するとトテテテテテテ、と逃げ出すので、種によっては注意してください(例えば、コスタリカンタイガーランプや、凶暴とされる大型バードイーターは想像以上に素早く動きます)。凶暴とされる種などは、ピンセットで制しようとしても、平然と向かって来て駆け上がろうとしてきたりして、結構危ないです。バードイーターなら油断出来ると言うことないみたいですねぇ。
あと、何より気をつけるべきなのが刺激毛。軽い刺激毛ならいいですが、強力なやつに触ると、痒いし、中には痛いものもあるとか。目に入ると危険すぎるので、顔を近づけないようにしましょう。入ってしまったと思われる場合は絶対に掻かないこと。刺さっていない部分は涙で流れると思うので我慢し、暫くして痛みが引いたと思っても必ず眼科へ行った方がいいかと思われます。
また、連中は自分の巣の周辺などに刺激毛をばらまいておく習性があったりするので、掃除の時は床材に手を触れない方がいい感じです。
樹上性種の中でも、Avicularia属についてです。
南米に生息するAvicularia属は、小型〜中型の種で、個体差を差し引けば基本的には大人しい種で占められると思われます。高い空中湿度と比較的高い温度(28℃)を好み、ハンモックやチューブ状の巣をほぼ必ず作るので、普通のプラケースで飼育するのには微妙さがつきまといます。勿論、飼育できないことはないく、プラケを縦置きにするなどの方法もありますが、やはり背の高いケージで飼育し、コルクバーグなどを立てかけて上方に巣を張らせた方が楽しいです。床材は、潜ったりしないので、ぬれ具合がわかりやすい赤玉土あたりが良いのではないでしょうか。
Aviculariaは大人しいですが、驚かせると上へ上で駆け上がる習性があり、幼体ではより顕著です。ピンセットなどで上からメンテナンスをしていると駆け上がられることがあります。プラケ縦置きは、側面からメンテナンスが出来るので、ある意味良いかもしれませんね。
もっとも、このグループ慣れてくればそれほど畏れずにメンテナンス出来ます。慣れる、というのは、「何を何処までやったらタランチュラが怒るのか、驚いて駆け出すのか把握する」という感じです。移動させる時などに突きだしたりしますが、どの程度の力と、どの程度のタイミングで押せば、威嚇したり駆け出さないで移動してくれるかを把握していれば、なんら危険はなく取り出すことが出来ます。
尚、この属のタランチュラは複数飼育が可能だなどの情報もありますが、それは90cm水槽クラスのサイズで数頭というような意味合いだと思われるので、小さなケージでそれをやるのは共食いされるだけだと思います。
樹上性種の中で、Poecilotheria属、Psalmopoeus属、Tapinauchenius属、Iridopelma属などについてです。つまるところ、俊足系樹上性凶暴種。樹上性傾向のあるバブーンも此処に該当します。
これらの種を飼育する上で必要なのは、固い決意、もしくは人生を達観する精神です。
何しろ、タランチュラの中でも危険度は折り紙付きの連中であり、咬まれると大変なことになります。絶対に咬まれないようにするとともに、様々な人からの白眼を耐えきる精神力が必要です。子供がいる場合は、絶対に触らせないように管理しなくてはいけまんし、時と場合によっては様々な糾弾からタランチュラを庇う気概も必要かもしれません。(僕の場合、知人友人家族から「此奴はヘンなヤツだ」と諦められている節があり、「何か言っても無駄」と思われているらしく責められることもありませんので、精神力を持たなくても平気だったりします。<それは人としてどうなのか)
ま、その辺の精神的部分はさておき、飼育の技術部分。僕とてそんなに技術あるわけじゃないんですが……
まず、これらの連中は高い湿度を欲しますが、Avicularia属以上に通気性に気を遣わないと、あっさり死亡してしまいます。ええ、僕はこれで殺したことありますので……(泣) Avicularia属が耐えられるような環境でも耐えられないことがあります。取り分け、高温が続くのがプラスされるとあっさり死ぬようですね。通気には十分気を遣いましょう。
床材は湿度保持の意味と、乾燥がわかりやすいように赤玉土のあたりがオススメな感じです。もっとも、ヤシガラなどなんでも良いと言えばそうですが。
このグループは水容器が必要ないように思われていますが、夜間に飲んでいるようなので、やはり設置した方がいいでしょう。地面に置いてあっても探し出して飲むようです。
さて、Poecilotheriaにしろ、Psalmopoeusにしろ、大変格好良く美しく、その魅力は語り尽くせませんが、万人にお勧めするには辛いものがあるのは、毒性の強さよりもその予測不可能とされる動きの奇抜さにあります。
これらの属のタランチュラは、一様に神経質で臆病――つまり、凶暴ですぐに威嚇し、疾走して逃げ出したりします。そうした時に反射的に手を出してしまい咬まれる、という事故の起こり方があるようです。咬まれた場合、Psalmopoeusなどの症例は知りませんが、Poecilotheria属は二週間近くの麻痺を起こすこともあるようなので、咬まれるとちょっと洒落になりません(しかし、痛かったり腫れたりする程度で、神経的な障害が全くでないこともあるようです。この辺が、タランチュラ刺咬症の個人差が大きいと言われる所以でしょう)。
そんな訳で、出来ればお互いに平和的に暮らしたいところなので、まずは相手方に落ち着いて生活して頂くのがポイントになると思います。
その形態から、Poecilotheriaなどは“ササカマ”と言われるように、側面にべったりと張り付くポーズが好きです。もっと好きななのは、狭い隙間に入り込むことで、その中に入っていれば、基本的には外に駆け出したりしないでその中でじっとしています。この辺は、冒頭に書いた属のタランチュラはどれも似ていて、Psalmopoeus等もボリュームがあるためにササカマと言えないだけで、ポーズとしては同じです(実はマレーシアアースタイガーとかもそうです)。
そこで、コルクバーグを壁面すれすれに立てかけたり、数枚のコルクバーグ、或いは発泡スチロールを縦に並べます。隙間は個体がぎりぎり入れるぐらいから、余裕で入れるぐらいまでの、幅を持たせた感じで斜めに。其処に投下しておくと、大抵その隙間周辺に巣を作るようになります。
そうなると、掃除の時に予めケージの外から空気や水、振動で軽く刺激を与えると其処へ逃げ込み、隙間にしっかりと挟まって出なくなります。そうなれば、あとは巣の周辺を刺激したりしないようにして、床材の掃除やゴミの除去作業を行うことが出来ます。無理に突き出そうとしない限り、そうそう暴れたりしないと思いますが、勿論個体差というのはあるので、絶対ではないです。
何かの振動や、ピンセットが触れるぐらいでコルクバーグがぱた、と倒れてクモが走り出すというのは洒落にならないので、コルクバーグはよく洗ったものを床材に少し埋めた感じで立てかけると良いでしょう。でなければ、壁面から穴を開けて、釘などで固定するとか。釘は鉄製はさびるので、真鍮製がオススメです。
僕はこの手のタランチュラをプラケースで飼ったことはまだなく、クワガタ用のブロー容器縦長か、自作の上下分離式ケージで飼っています。絶対咬まれたくないので(咬まれると家族から飼育禁止令が出かねない)、この手のタランチュラには細心の注意を持って毎回接していまして、疲れを感じている時は手を出しません。
上下分離式を作る場合は、上手く填るものを使って下さい。隙間とかがあるようではダメだと思います。上下分離式を使えば完全に安全だとかそういうことはなく、多少メンテナンス楽かも、という程度です。タランチュラが入っている上部を抜き取ったら、衝撃でびっくりしてタランチュラが逃げ出し、容器の縁を回って腕を駆け上がってくるという事態も想定されるので、そっと扱いましょう。
右のやつは、100円ショップで手に入れたものですね。透明度も高かったので良い買い物でしたが、最近見かけなくて残念です。
それから、空気穴は、上方だけでなく、側面下方にも開けるのがポイントではないかと思います。
この辺のタランチュラは、正直扱えるかどうかは個人の技倆次第。突き出すと、その性質上、ピンセットを登ってきたり、今まで入っていたケージの壁面を登って飼育者の腕などに来るタイプのタランチュラなので……その上、結構跳躍します。タランチュラの関節の構造とか見ると、どうやって跳躍しているのか謎ですが、まさしくそのまま、自分の体長以上の距離を跳躍しますので、油断は禁物です。
僕は、ケージを移動する時は、壁面にいるところにデリカップをぺた、と被せてしまうか、新しいケージの中に前のを入れ子にして出てくるのを待ってみたり、側面に誘導しデリカップ被せたり(失敗すると疾走されるのでコレが怖い)、あとはジップロック方式(リンク先はみるかし姫さんのクモニストインターナショナル)だったり、いろいろです。
上手く扱えば、疾走されることなく移動出来るし、掃除も出来るし、飼うことも出来るんじゃないでしょうか。(Iridopelmaは空気の流れを感じ取って疾走してくるので例外(−−;))
乾燥系と多湿系がいます。乾燥系バブーンとされる種は、比較的掘らないで、そこら辺全体を巣にするような連中なので、適当にシェルターを入れておくと、床材が少なくても螺旋階段みたいな巣を作ったりして楽しいです。ただ、ケージの窓口の側に出入り口を作られると、窓を開けた瞬間に飛び出てくる可能性があるので、そういう場合は予め隙間からピンセットなどを入れて破壊し、別の場所に作ってもらうと良いかと。
多湿系バブーンHysterocrates属やキングバブーン、アースタイガーなどは、床材が不可欠(と言っても、アースタイガーはまだあんまり飼ってないから微妙だなぁ)。厚く敷いた方が楽しいので、出来るだけ厚く床材を入れ巣を掘らせます。楽しい以前に、掘らせないとよくないようです。床材ですが、多湿系では保湿力を求める為、ヤシガラやピートがいいと思います。赤玉土やバーミキュライトは、タランチュラが汚れるので僕は好きじゃないです。
高く土を入れるので、高さのあるケージが良いということで、僕は地中性種にはクワガタ用ブロー容器を使います。これの蓋に沢山穴を開け、更に側面にも穴を開けます。この時、用土の部分である下方にも穴を開けるようにしてます。広い土なら、土の中自体で緩やかな通気性がある訳ですが、ブロー容器などの空気を遮断する壁面ではそうも行きません。結果、通気性が悪くなちゃうんじゃないかなぁということで、僕は必ず土の部分にも穴を開けてます。少々危険ですが、タランチュラが巣を作ったら、其処に空気が流れこむような位置に開けることすらあります(穴を開ける時、タランチュラを傷つける可能性がるので注意が必要)。この穴あけが正しいのかどうか分かりませんが、なんとなくやってますね。
大型の個体などは深型プラケで飼育していますが、これも側面に穴を開けてます。穴を開けると、水が当然こぼれるわけで、後で使い勝手が悪くなってしまいますけどね....
ちなみに、巣を積極的に掘る種に、用土を半分ぐらいの高さまで入れると、下から押し上げて結局上の方まで巣になってしまうことがあります。その場合は、蓋を開けた瞬間に飛び出てくる危険性があってイヤなので、用土は高さの1/3程度がいいかもしれません。
餌遣りは基本的に殺した餌オンリーです。理由は、コオロギが生きたまま巣の中に侵入し、タランチュラを殺す可能性があるから。脱皮前などは巣の入り口に糸で蓋をすることもありますが、中には巣の外に出てきて脱皮したがるようなヤツもいるので厄介ですねぇ。
まぁ、取り敢えず顎と頸椎などを破壊したものを巣に引っ掛けておけば食べます。弱っているのでもない限り、食べ残しや糞は巣の外にされます。多湿系ではすぐに腐敗するので、速やかに清掃作業。問題は巣の中で餌を残されたりした場合で、これはタランチュラにも良くないので、そういう場合は巣を破壊してでも除去します。餌をやったら、暫くはちゃんと観察し、巣の中で何かが腐敗していたりしないかチェックしておきましょう。
えー、移動ですが、此奴らは基本的にやばいです。威嚇するし、突き出すとたいていが疾走します。大型の個体であればあるほど、威嚇が好きなのようなので、実は大型個体の方が扱いやすい気もします。幼体はとにもかくにも走り回る。更に手に負えないのがアースタイガーで、なんか跳躍しやがります。僕はまだ飼ってないのですが、コバルトブルーはまさしく跳躍してプラケから易々と飛び出すそうです。
突き出そうにも大抵は巣に戻ろうとするのが面倒です。で、巣から出すと大抵が疾走という訳で……
幾つか取り出す方法はありますが、どれも安全かどうかは分かりません。
例えば水没。どぼどぼと水を注いで巣を水没させると、タランチュラがのそのそと出てきます。で、出てきたところをデリカップで捕獲。ただーし、出てこないこともあるので、そういう場合はさっさと水を抜かないと溺れちゃいそうです(中には溺れないで泳ぐやつもいるけど(笑))
この方法、水を注いだり除去したりが面倒なので僕はやっておりません。そもそも、巣から出て欲しい時というのはケージから移動する時なので、巣を破壊しちゃっても良かろう、ということで、僕は蓋の隙間から差し入れたピンセットで巣を破壊しつつ(乱暴にやるとピンセットの先でタランチュラを傷つけるので優しく)、突きだして出てきたところを捕獲、という感じですが.....あーあとは、衣装ケースにひっくり返すとか。ひっくりかえしたまま暫くして土の中からタランチュラがのそのそと現れ、タランチュラが怒るのを已めたときに、ひっくり返した状態のケースを抜き取り、上からデリカップとか。
気長作戦としては、巣を破壊したら暫く蓋を開けた状態で、上に下敷きとかで押さえ蓋をし、デリカップを持ち、埋もれたタランチュラがそのそと土から出てくるまで延々待ち続けるとかもありますが……中には、しーんと暫く沈黙を保っておきながら、直後に弾丸の如く真上に跳躍し、その後疾走するという強者もいます(マレーシアアースタイガーいい加減にしてくれ)。
よって、どうしようもない暴れん坊は、ピンセットや霧吹きなどを隙間から差し入れ、駆使して巣穴から出たところで蓋をそっと外しプラカップを被せる、というなんとも不安な方法に落ち着くのではないかと……
…………あんまし参考にならないなぁ。う〜、その、加えて言うと、バブーンを捕まえるポイントは、「威嚇している間に捕獲しよう」だと思います。威嚇している間に捕まえないと、直後にトタタタタッと逃げ出されるんで。びびってないで、ささっと。アースタイガーはよくわかりません(−−;) だって連中威嚇しないんだもん。すぐ走るんだよ……