Typopeltis curucifer
タイワンサソリモドキ

♂の自然下での発見状況
倒木を裏返したところ
♀の自然下での発見状況
地中埋設線工事残材の砕けた土管下
学名 Typopeltis crucifer (Kraepelin)
和名 タイワンサソリモドキ
体長 38mm内外、雌では42mmに達することもある
分布 八重山諸島と宮古諸島(多良間島)、国外では台湾
私は、石垣島以外で観察したことはないが、島内では自然林の残る所ではたいがいどこでも見つかる、一般的な種である。
自然環境下では、かなり地面にめり込んだような石の下にも見られ、そう言った石の下にはたいがい掘る力の強い大型の個体が潜んでいる。また、小さな石やあまり深くめり込んでいないような石の下には小型の個体が多い。
大きな石等の下には数頭居ることもあるが、たいがい1頭づつ単独で居る。また、採集等で一時的に複数頭一緒にしただけでも、共食いをする。ホテルへ持ち帰って中を開けてみると、“何故か腕だけが数本転がっている.....”なんて事もしばしば。自然環境下では、あまり補食行動の上手い生き物とは言えないようで、採集個体はたいがい飢えています。
まぁ、もともと野生生物が満腹状態でいること自体がそれほどあり得ることではありませんが、事サソリモドキに関しては半ば飢餓状態でいることの方がほとんどで、採集時の共食いもそれ故にでしょうね。
また、やはり降水量の多い地域の生き物です、非常に乾燥に弱いと言えます。飼育の際にも、乾燥は厳禁ですのでくれぐれも注意して下さい。

繁殖に関しては、不明な部分が多くと言うか、私はまったく知らない。現地に行くと、通年様々な大きさの個体を採集できることを考えると、決まった繁殖期がないのかもしれない。だが、おそらく雨の多い時期、春先等の何らかの変化に関連していると考える方が自然だ。
飼育下での繁殖に、そう言った変化が必要かどうかは不明だが、有るにこしたことはないと思われる。
温度は、極端な高温さえ避ければそれほど気にする必要はないが、生息地を考えてもらえればわかるとおり低温には弱い。私が、12月に石垣島に訪れたときは、朝の最低温度19℃で昼間は25℃まで上がっていた。湿度を好むサソリモドキの生息地では、北国育ちの私は汗をかきながら歩く羽目になった。

飼育に関しての注意点は、兎に角水切れに弱いと言うこと。直接飲めなくても、湿度が必要。
餌はお腹の張り具合を確認しながら、適度に与えること。野生個体のように、腹部がぺちゃんこになっているのは自然環境とは違う飼育下では良くない。サソリやムカデと同じで、与えすぎは良くないと思われるが、程々に与えておかないと簡単に死んでしまうので注意すること。水切れにはもっと弱い。
自然状態では穴を掘って石等の下にいるが、何もないところにただ穴を掘って住んでいるようなことは無いようで、何かとっかかりを見つけてそこから掘るようである。そして、その石等の下に自分が収まるほどの窪みを作り、そこに潜んでいる。
飼育下でも、何も入れない状態で水分補給と湿度を維持しておけば問題なく飼育できると思うが、やはり柔らかめの掘りやすい床材とシェルターなどよりも石等を置いて、自分で掘らせて上げる方がよいと思われる。
また、やはり何もないとストレスになるのか雌でも餌喰いが悪くなる事があるので、その場合も環境を改善して上げると割とあっさり立ち直ることが多い。
決して弱い生き物ではないので、大事に育てて上げましょう。

まずどこを見てもらいたいかというと、触肢の部分。おそらく外国産でも同じ所で見分けがつくと思うが、とりあえず国産の2種はここで雌雄の判別がつく。
五節に分かれている触肢の膝節(真ん中の節)の部分を注目して下さい、ここに着桿状突起があります。この形状があからさまに違います。
一番大きな違いは桿状突起ですが、ほかにも違いがあります。ですが、この部分さえ見ればほかを見る必要はないでしょう。
次の写真で見てもらってもわかると思いますが、雄はあからさまに華奢です。体色も濃いような気がします。さらに雄の腹部側面の柔らかい部分が、雌に比べて非常に赤っぽいのがわかるかと思います。これも、今のところ雄にしか見られない特徴です。
また、雌の腹部は良く太りますが、雄はそれほど太りません。食も雄のほうが細いです。